世界の美術館

【コラム】ポール・ゴーギャン作 / 「いつ結婚するの(NAFEA Faa ipoipo)」

Paulgogan
image via wikipedia

6歳の夏だったと思う。

家族旅行で訪れたデンマーク、夕暮れ時のチボリ公園で、父に買ってもらった絵画ポスターがゴーギャンと私との初めての出会いだった。

子供ながらに、北欧の白夜の中で抱いたこの絵の色に対する違和感が、いつまでも楽しそうなコペンハーゲンの空気や、閉じかけて閉じない夜の帳のせいではなく、何のことはない南国タヒチで描かれた作品だからだと知るのは少し後になるけれど、形ばかりのオトナになるまでずっと、その夏の匂いも一緒に自室の壁に貼って、違和感を受け入れ続けた。

小さな私があの夏に、お伽の国で手に入れた「違和の色」は、長いあいだ生活の中に空気のように存在しつづけて、今の私の色に続いてるとしか思えない。

「maisの色のルーツはヨーロッパで見た生活の色と、日本人の私の魂のナニか」

絵を描くようになってから、ずっとそう言い続けてきたけれど、私の根っこはきっと、あの日の景色とこの絵を混ぜた瞬間なのだと思う。

デフォルメとは違う、どこまでも削ぎ落とされた女の形にも、どうしようもなく惹き付けられてしまう。私が無性に女を描きたがるのも、無性に色で遊びたがるのも、この絵をあまりにも自然に無意識に 眺め続けてきたからかもしれない。

あらためてこの作品に向き合い、古く鮮やかな記憶を辿ると、私はどこか確信に似た感情で、パズルのピースを見つけたような心地よい歓びすら感じてしまう。

著者:画家 mais

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