コラム

【コラム】秘められた母親への憧憬(前編):レオナルド・ダ・ヴィンチ/「モナ・リザ」

世界でもっとも有名な女性の一人でもある「モナ・リザ」は、イタリア語では「ラ・ジョコンダ」と呼ばれるように、フランチェスコ・デル・ジョコンダという(伊)フィレンツェの絹商人の依頼で、その妻リサを描いたものだと解明されています。

モナ・リザ

しかし、様々な理由でこの肖像画は本人たちの手に渡っていません。それどころかそれほどジョコンダ婦人には似ていないとも云われています。それでも1910年代には、16億3,000万ドルの価値があると新聞等が伝えているのですから、今でも天文学的な価値のある作品であることは間違いありません。

だから一獲千金を狙って、ルーブル美術館には毎年たくさんのイタリア人が「レオナルドの絵を古道具屋で見つけた!」と作品を持ち込んでくるのだそうです。今でもイタリアの古道具屋の店先には、暖炉の上に飾られていたために煤だらけで何が描いてあるのか判らない絵や、絵の描かれたキャンバス地を切り取って背もたれに貼ってある椅子が並んでいるそうなのです。

余談ですが『聖ヒエロニムス』(レオナルド・ダ・ヴィンチ作/ヴァチカン美術館所蔵)は一般家庭の椅子の背に貼ってあったといいます。

以前、テレビ番組の企画で、骨董品集めが趣味のお爺さんたちが、南仏ラロック村の古道具屋で買った絵(約3万円)が、レオナルド・ダ・ヴィンチ作かもしれない!本物ならば600億円の価値!と話題になって、イタリアまで行って調査したことがあります。

その時に聞いた話では、レオナルド作品の真贋に関する権威は、ルーブル美術館、彼の故郷ヴィンチ村にあるレオナルド・ダ・ヴィンチ博物館、そしてキエティ大学のカパッソ教授だというのです。

この三者が時にアカデミックに、時に科学的に判断をするのですから、真贋に関する判断は遅々として進みませんでしたけれど、カパッソ教授からは、レオナルド・ダ・ヴィンチの生い立ちについて、とても興味深い話を聞きました。

それはレオナルドが発案した画法に深い関係があると言うのです。

中編に続く

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レオナルド×ミケランジェロ展:2017年6月17日〜

一般社団法人日本美術アカデミー
プランニングディレクター 高柳茂樹
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