旧約聖書に記されたバベルの塔。天にも届くその姿がこれほど圧倒的な迫力をもって絵画化された例は他に無い。
ピーテル・ブリューゲル(父)は、16世紀初め以来のネーデルラント絵画の中で培われてきたパノラマ風景画の手法を借りて、この塔の巨大な姿をまざまざと見せつけているのであるが、みごとに描写されているだけに余計、この塔の馬鹿らしさ、その構造の非合理性が浮き彫りとなっている。
バベルの塔は、人間の傲慢(ごうまん)さの象徴である。
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