「胸に手を置く騎士の肖像」ー エル・グレコ 作者:エル・グレコ 年代:1580-1585年頃 製法:油彩、カンヴァス 収蔵美術館:プラド美術館 正面観と垂直性が際立つ若い騎士の肖像である。こうしたポーズは画家の出自に関わる、ビザンティン世界のイコン(聖像画)を連想させる。 エル・グレコに限らず、マニエリスムの画家は顔に劣らず手を通して表情を伝える。 この人物独特の高潔、真撃(しんし)な雰囲気はセルバンテス時代の理想像としてのちの文学作品でも称揚された。彼の視線は私たちのはるか背後に向けられ、その魂はもはやこの世のものではなかろう。(大高) あわせて見たい絵画・コラム【コラム】美術の皮膚(181)マネの黒とマネの闇~権威へのコンプレックス~「リンゴとオレンジ」 ポール・セザンヌ【コラム】美術の皮膚(152)カラバッジョ~どんでん返し~「アダム」 アルブレヒト・デューラー スポンサードリンク