ピッティ美術館
イタリア フィレンツェ
ウフィーツィ美術館からヴェッキオ橋を渡ってアルノ川を越えるとピッティ宮殿がある。この宮殿内には5つの美術館があるが、その中のひとつがパラティーナ絵画館で、わが国ではそれを通常、ピッティ絵画館またはピッティ美術館と呼んでいる。
この建物は15世紀半ば、銀行家ルカ・ピッティの宮殿として工事が開始されたが、彼の失脚とともにそれは中断された。そして1550年、宮殿はメディチ家のコージモ一世が買い取り、建築家アンマーナティが改築、拡張工事にあたり、新たにメディチ家の館として蘇ったのである。ウフィーツィ美術館同様、メディチ家のコレクションを基板とした収蔵品は、1828年に一般公開されるようになった。
壁いっぱいに所狭しと掛けられた作品群は、ピエトロ・ダ・コルトーナの天井画や華美な内装と一体となってバロック的な空間を作り出している。中でもラファエルロの『椅子の聖母』と『大公の聖母』、フィリッピ・リッピの『聖母子』、ペルジーノの『十字架降下』、アンドレーア・デル・サルトの『聖母の被昇天』、ティツィアーノの『夫人の肖像』、ルーベンスの『戦乱の恐怖』と『四人の哲学者』、ムリーリョの『聖母子』は、ピッティ絵画館を代表する傑作である。(松浦 弘明)
収蔵絵画