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【コラム】美術の皮膚(13)「データが思い出させてくれた巨匠」

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多くの画家に影響を与えた画家の上位に、レオナルド・ダ・ヴィンチ、カラヴァッジョがいるのは生意気を言えば予想の範囲内だったけれど、同数で2位になったのは、初期ルネサンスに活躍したパドヴァ派の(伊)アンドレア・マンティーニャ(1431~1536)だったのは意外でもあり、忘れてはいけない巨匠をデータが思い出させてくれた。

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「死せるキリスト」/image via wikipedia

マンティーニャは、(神を描くのに俗世の現実味など不要だった)祭壇画をはじめとする平面的で生硬な表現が中心の初期ルネサンス期において、その代表作「死せるキリスト」(1480年頃/ブレラ美術館所蔵)のような、短縮法(遠近法の一種)を使って、画面に劇的な現実味を帯びさせたことで知られている。

ルネサンス期のフィレンツェでは、建築技術を応用した透視図法(遠近法の一種)を使って画面に奥行きを生むのが盛んだったのに対して、ヴェネツィアを含む北イタリアで活躍したマンティーニャは、同時代の彫刻家ドナテッロの影響を受けた独自の画法が、後進の画家たちに大きな影響を与えたのだと思われる。

ゴシック期

  • (独)パッハー・ミヒャエル(1435~1498)

初期ルネサンス期

  • (伊)ジョヴァンニ・ベリーニ(1430頃~1516)
  • (伊)ジェンティーレ・ベリーニ(1429~1507)
  • (伊)トゥーラ・コジモ(1430頃~1495)
  • (伊)ヴィンチェンツォ・フォッパ(1430頃~1515頃)
  • (伊)クリヴェリ・カルロ(1430頃~1493頃)

盛期ルネサンス期

  • (伊)アントニオ・アッレグリ・ダ・コレッジオ(1489頃~1534)

北方ルネサンス

ラファエル前派

  • (英)エドワード・バーン=ジョーンズ(1833~1898)
  • 上記の9人が、マンティーニャの影響を受けたとのことで、中でも特に、強い明暗の対比を描きバロック絵画の先駆けと云われるコレッジオや、ドイツ美術最大の画家デューラーが名を連ねているのだから、やはりマンティーニャは、僕がうっかり忘れていただけで、ベストスリーに入っていても当然の巨匠だった。

    ベストテンにランク・インしたのは下記の画家たち。

    4位(6人)

    5位(5人)

    • (伊)ミケランジェロ・ブオナローティ(1475~1564)
    • (フランドル)ヤン・ヴァン・エイク(1390~1441)
    • (独)アルブレヒト・デューラー(1471~1528)
    • (伊)ピエロ・デラ・フランチェスカ(1415頃〜1492)
    • (伊)ティッツィアーノ・ヴェッチェリオ(1488頃~1576)

    こうして見ると、当たり前のことだけれども、名を連ねている画家たちは、独自の技術や画風を確立した巨匠たちばかりだ。皮肉な見方をすれば、独特だからこそ後世の研究者たちが「影響」のヒモ付をしやすいだけなのかもしれないけれど、例えそうだとしても、それぞれの時代やフィールドで、先進的な作品を創作していたことに違いはない。

    (つづく)

    高柳茂樹
    一般社団法人日本美術アカデミー
    プランニングディレクター
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