「中世(476~1453)」生れの画家たちの平均寿命は、60.53歳(64人)だったけれど、次にルネサンス期を抱える「華やかなる近世」を、東ローマ帝国滅亡の翌年(1454)から、フランス革命が起こった1788年までと考えて計算してみた。
・中世:60.53歳(64人)
・近世:63.42歳(128人)
近世は、滅亡した東ローマ帝国から、ギリシア人が(伊)フィレンツェに大移動してきて、古き善き古代文明を復興させたルネサンス期が始まる。
その他にも、宗教改革によるプロテスタントの誕生や、大航海時代に突入して新大陸が発見されるなど、中世で抑圧されていた人々も、現生の快楽を求めるようになって、芸術や文化も賑やかになるから、画家の数も多い。平均寿命も比例して3歳伸びている。
日本史に照らし合わせると(諸説あるけれど)近世は、封建制から絶対君主制に移行する安土桃山時代から、江戸時代の終わりということになる。この時期になると、日本の歴史も世界史に追いついて、物理的にもだいたい同じ年代になってくる。
「近世」(1454~1788)生まれで80歳以上生きたご長寿画家たちは21人。現代の平均寿命(71.4歳)より生きた画家を加えると38人いる。
81歳(独)ルーカス・クラーナハ(1472~1553)
同名の息子ルーカス・クラーナハ(子)も画家。ウィーンで(独)ヴェッテンベルクの皇帝に3代に渡って仕えた宮廷画家で、宗教改革を行ったマルチン・ルターとも親交が深く、プロテスタントの祭壇画を多く描いた。代表作の「アダムとエヴァ」(1528年/ウフィッツ美術館所蔵)のようなエロティックな人体表現には、イタリア・ルネサンスの影響も見られる。
89歳(伊)ミケランジェロ・ブオナローティ(1475~1564)
彫刻家でありながら、絵画、建築にも才能を発揮した(レオナルド・ダ・ヴィンチと並ぶ)もう一人の万能の天才と言える。自身も画家である(伊)ジョルジョ・ヴァザーリ(1511~1574)は、著書「芸術家列伝」の中で、メディチ家の庇護を受けてフィレンツェに花開いた芸術の時代を、ルネサンス(再生)という言葉で初めて著し、ミケランジェロこそがルネサンスの頂点だと絶賛している。
ヴァザーリは「芸術家列伝」で、チマブーエからミケランジェロまでの芸術家163人の作品と生涯を書いたけれど、僕はチマブーエからアンディ・ウォーホールまでの300人の画家たちのデータを入力した。いや、数ではない...深さが違う。だから「美術の皮膚」なのだから。
(つづく)